与信審査とは?基本から流れ・必要性・承認基準まで中小企業の経理担当者向けに完全解説
「取引先の支払い能力は本当に大丈夫だろうか?」「新規顧客との契約を進めたいが、売掛金を回収できるか心配……」などの不安を抱えている経営者や経理担当者の方は多いのではないでしょうか。
実際に、与信審査を適切に行わずに取引を開始した結果、売掛金の回収不能や取引先の倒産によって大きな損失を被った事業者も少なくありません。
そこでこの記事では、企業間取引において重要な「与信審査」の基本的な仕組みから具体的な実施方法、承認基準のポイントまで、実務で役立つ情報を詳しく解説します。与信審査について詳しく理解し、事業の安定に役立てましょう。
与信審査の基本的な仕組み
企業間取引において安全な取引を実現するためには、与信審査の基本的な仕組みを正しく理解することが不可欠です。また、与信審査を怠ることで事業者にどのようなリスクが生じるのか、具体的な影響を把握することも必要でしょう。
まずは、与信審査の定義と目的から始まり、信用調査との違い、そして与信審査を行わない場合に事業者が直面する深刻なリスクについて詳しく解説していきます。
与信審査の定義と目的
与信審査とは、企業間取引において取引先の支払能力や信用度を評価し、安全に取引できるかどうかを判断する重要な業務です。
具体的には、新規取引先と掛け取引(後払い取引)を開始する前に、相手企業の財務状況や経営状態を調査・分析します。これにより「この事業者は約束した期日に代金を支払ってくれるのか」「どの程度の金額まで安心して取引できるのか」を事前に見極められます。
与信審査の主な目的は、売掛金の回収不能リスクを防ぐことです。例えば、月商100万円の事業者が取引先の倒産により50万円の売掛金を回収できなくなった場合、事業者の資金繰りに深刻な打撃を与えます。
与信審査を通じて取引先の信用度を数値化し、適切な与信限度額を設定することで、事業者は安心して事業拡大に取り組めるようになるのです。
与信審査と信用調査の違い
与信審査と信用調査は、企業間取引において頻繁に混同される用語ですが、その役割と目的は異なります。
信用調査は、取引先の財務状況や経営状態を総合的に調べ、信用性を調査するものです。具体的には、帝国データバンクや東京商工リサーチといった信用調査機関から事業者情報を取得し、貸借対照表や損益計算書を分析して、事業者の資産状況や収益性を把握します。
一方、与信審査は、信用調査の一種であり、信用調査で得られた情報を基に「この事業者と後払い取引を行うべきか」「取引する場合の限度額はいくらが適切か」など、取引先の支払い能力を調査するものです。
信用調査の結果が良好でも、業界の将来性や経営陣の信頼性を総合的に評価した結果、与信審査で否決される場合もあり、その逆もあり得ます。
例えば、長年の取引実績がある取引先が一時的な経営難に陥った場合、信用調査では財務状況の悪化が明らかになったとします。しかし与信審査において、事業計画の実現可能性や経営陣の立て直し能力を評価されれば、継続取引が可能と判断されることもあるということです。
| 項目 | 信用調査 | 与信審査 |
| 目的 | 取引先の財務状況・経営状態の情報収集 | 後払い取引の可否と限度額の判断 |
| 内容 | 財務諸表分析、事業者情報の調査 | 信用調査結果を基にした総合的な評価・判断 |
| 結果 | 客観的な事業者業情報の取得 | 取引可否の意思決定と与信限度額の設定 |
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与信審査を行わない場合のリスク
与信審査を実施しない場合、事業者は深刻な経営リスクに直面する可能性があります。
最も大きなリスクといえるのが、売掛金回収不能による資金繰りの悪化です。支払能力の低い事業者と取引を開始してしまうと売掛金が予定通り回収できず、自社の運転資金に大きな影響を与えてしまいます。特に中小企業では、一件の大きな貸し倒れが連鎖倒産を引き起こすケースも珍しくありません。
実際に財務状況を把握せずに取引を開始した結果、取引先の倒産により売掛金が回収不能となり、自社の資金繰りが悪化した事例が多数報告されています。
加えて、売掛金の回収遅延が頻発すると、金融機関からの信用評価も低下します。銀行は融資審査において事業者の債権管理能力を重視するため、与信管理が不十分な事業者は融資条件が不利になったり、融資そのものが困難になったりする場合もあります。
与信審査を怠ることで生じるこれらのリスクを回避するためには、取引開始前の信用力評価が不可欠なのです。
与信審査の流れと実務で行う具体的な手順

与信審査を実際に進める際には、体系的な手順に従って効率的に行うことが重要です。情報収集から分析、限度額設定まで、それぞれの段階で押さえるべきポイントがあります。
ここからは、与信審査の基本的な流れと実務における具体的な手順、効果的な情報収集方法、さらに審査期間を短縮するための実践的なコツについて確認していきましょう。
与信審査の基本的な流れ
与信審査は、取引先の信用度を体系的に評価する重要なプロセスです。具体的な流れは以下の通りです。
- 取引先の評価基準を決める
売上高、資本金、利益率、取引金融機関、経営者の質などを参考に、事業者ごとに評価項目と基準を決定します。「信用度(高)」「信用度(中)」「信用度(低)」といった区分で判断しやすくします。 - 評価基準に基づき取引先を評価する
決定した評価基準に基づき、内部調査や帝国データバンクや東京商工リサーチなどの信用調査機関による情報収集、財務諸表の定量分析、経営者の資質や業界動向の定性分析を実施します。 - 与信限度額(信用枠)を決める
評価・分析の結果を基に、取引先の信用度に応じた適切な与信限度額を設定します。過去の取引実績と将来性を考慮し、リスクバランスを重視して決定しましょう。 - 与信管理は継続的に行う
決定された与信限度額をもとに契約交渉を行い、取引開始後も定期的に信用状況を監視し、必要に応じて限度額を見直します。
情報収集の方法と信用調査機関の活用
与信審査における情報収集は、正確な判断を下すために欠かせない重要なプロセスです。効率的な情報収集を行うためには、帝国データバンクや東京商工リサーチといった信用調査機関の活用がおすすめです。信用調査機関は、事業者の基本情報から財務状況、経営者の評判まで幅広い情報を独自のネットワークで収集しています。
信用調査報告書による詳細分析と併せて、商業登記簿謄本や財務諸表などの公開情報、さらに業界関係者へのヒアリングなどの情報を入手すると、単一の情報源では見抜けないリスクを発見できるでしょう。
| 情報収集方法 | 入手できる情報 | メリット |
| 信用調査機関 | 財務状況、経営者情報、業界評価 | 客観的で詳細な分析 |
| 公開情報 | 登記情報、官報公告 | 確実性が高い |
| ヒアリング | 評判、支払い状況 | 実際の取引実態を把握 |
与信審査にかかる期間と短縮のコツ
与信審査にかかる期間は、調査の複雑さや取引先の規模によって大きく異なります。また、信用調査機関に依頼した場合は、おおよそ1か月前後かかることが標準的のようです。なお、期間短縮のオプションを提供しているところもあるため、希望期間と予算のバランスを見て利用するのも一つの手です。
また、社内で収集した情報を調査会社に積極的に提供することも重要です。取引先の基本情報だけでなく過去の取引実績も詳細に伝えることで、調査の精度が向上し、結果として審査期間の短縮につながります。営業部門と管理部門が連携し、情報の共有体制を整備することが、効率的な与信審査を実現する鍵となるでしょう。
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与信審査の評価方法と承認基準のポイント

与信審査において最も重要なのは、取引先の信用度を正確に評価し、適切な承認基準を設定することです。財務諸表の数値による客観的な判断だけでなく、経営者の資質や業界特性といった定性的な要素も考慮する必要があります。
また、製造業・小売業・サービス業など、業界ごとに異なるリスク特性を理解することも欠かせません。ここでは、与信審査の精度を高めるための具体的な評価手法と、承認判断に必要な重要ポイントについて詳しく解説します。
定量分析による財務指標の評価
与信審査における定量分析では、財務諸表の数値データを用いて取引先の財務状況を客観的に評価します。主要な分析対象は、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書(C/F)の3つです。
流動比率や自己資本比率などの財務指標を算出し、取引先の安全性や収益性を数値で判断します。特に営業利益率や経常利益率は、本業での稼ぐ力を示すため重要な指標となります。
ただし、黒字倒産の事例もあるため、損益だけでなくキャッシュフローの分析も欠かせません。定量分析は客観的な評価が可能である一方、数値に表れない要素は把握できないため、定性分析と組み合わせて総合的に判断することが与信審査の精度向上につながります。
| 分析項目 | 主要指標 | 評価ポイント |
| 貸借対照表(B/S) | 流動比率、自己資本比率 | 事業者の財政状態・安全性 |
| 損益計算書(P/L) | 営業利益率、経常利益率 | 収益性・本業での稼ぐ力 |
| キャッシュフロー計算書(C/F) | 営業CF、投資CF、財務CF | 資金繰り・現金創出能力 |
定性分析による事業者の信用力評価
与信審査における定性分析では、財務諸表の数値では測定できない取引先の質的な側面を評価します。定量分析と同時に行うことで、取引先の信用力をより総合的に判断できます。
定性分析の主な評価項目は、経営者の資質や経営手腕、株主構成や資本背景、業界動向や競争環境です。例えば、決算書上は黒字でも、経営者の評判が悪い場合や業界全体が衰退傾向にある場合は、将来的なリスクを慎重に検討する必要があります。
情報収集は、信用調査レポートの活用や、取引先への直接訪問、業界関係者からの聞き取りなど複数の手法を組み合わせて行います。特に営業担当者が現場で得た情報は信頼性が高く、数値に表れない事業者の実態を把握する上で重要な情報源となります。
| 評価項目 | 調査内容 | 情報収集方法 |
| 経営者の資質 | 経歴、経営手腕、人柄 | 面談、業界関係者への聞き取り |
| 株主・資本背景 | 株主構成、出資比率、系列関係 | 登記簿謄本、調査レポート |
| 業界・風評 | 業界動向、競争環境、評判 | 業界誌、インターネット調査 |
業界別・会社規模別の審査ポイント
業界特性や会社規模に応じた与信審査では、それぞれの業界固有のリスクとビジネスモデルを理解することが重要です。
製造業では、設備投資の大きさや在庫管理能力が審査の焦点となります。原材料価格の変動リスクや製造設備の維持費用を考慮し、キャッシュフローの安定性を重視します。
小売業では、商品回転率や季節変動の影響を慎重に評価します。在庫リスクが高く、消費者動向に左右されやすいため、売上の安定性と資金繰りの管理体制を重点的に審査するとよいでしょう。
サービス業では、人材依存度が高いため、優秀な人材の確保状況や組織の継続性を評価することが重要です。固定費の割合が高く、売上減少時の影響が大きいため、経営の安定性を重視した審査を行いましょう。
会社規模別では、大企業は情報開示が豊富で分析しやすい一方、中小企業は経営者の資質や事業の将来性をより深く評価する必要があります。
| 業界 | 主要な審査ポイント | 特有のリスク |
| 製造業 | 設備投資、在庫管理、キャッシュフロー | 原材料価格変動、設備維持費 |
| 小売業 | 商品回転率、季節変動、資金繰り | 在庫リスク、消費者動向 |
| サービス業 | 人材確保、組織継続性、固定費 | 人材依存、売上減少時の影響 |
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与信審査を行う際の注意点とリスク回避のコツ

与信審査を効果的に実施するためには、実務上の注意点を理解し、効率化を図ることが重要です。情報共有の体制づくりから客観的な審査基準の設定、債権 与信保証サービス活用によるリスク回避など、さまざまな観点から考慮すべきポイントがあります。ここでは、これらの実践的なノウハウについて、具体的な手法とともに解説していきます。
与信審査を行う際の注意点
与信審査を効果的に進めるには、いくつかの重要な注意点があります。
まず、管理部門と現場での情報共有が欠かせません。財務諸表の数値だけでなく、取引先の評判や経営者の人柄など、現場の営業担当者が持つ生の情報も与信判断に活用することが大切です。数字に表れない事業者の実態を把握するためにも、部門間の連携は必要不可欠といえます。
次に、客観的な審査を心がけることが重要です。自社で収集した情報のみに頼らず、第三者機関のデータなどの信用調査機関を活用して、偏りのない判断を行うことも必要です。
さらに、統一した評価基準の設置も不可欠といえるでしょう。審査担当者によって判断がばらつくと、公平性を欠くだけでなく、属人的な業務になってしまいます。明確な基準を設けることで、部門を跨いでも一貫性のある与信審査が実現できるのです。
継続的な与信管理と見直しのポイント
与信審査は一度実施すれば終わりではありません。取引先の経営状況は常に変化するため、継続的な監視と定期的な見直しが欠かせません。
最も重要なのは、年に1回以上の定期的な与信見直しです。取引先の決算期に合わせて最新の財務情報を入手し、与信限度額が適切かどうかを再評価しましょう。大口取引先や経営状況に不安がある事業者については、より頻繁な見直しが必要になります。
さらに、支払い遅延の発生や取引金額の急激な増加といった変化があった場合には、その都度見直しを実施することが重要です。こうした異変を素早く察知するためには、現場の営業担当者からの情報収集体制を整備し、管理部門との連携を強化する必要があります。
効果的な与信管理には、債権管理と限度管理の両輪が必要です。支払期日の順守状況を監視し、与信限度額内での取引が行われているかを継続的にチェックすることで、リスクの早期発見と対応が可能となるでしょう。
債権保証サービス与信保証サービスによるリスク軽減
売掛金回収リスクを軽減する方法として、債権保証サービス与信保証サービスの活用が注目されています。このサービスは、取引先の倒産など や支払い遅延が発生した場合に、保証会社が未回収の売掛金を保証してくれる仕組みです。
債権保証サービス与信保証サービスの最大のメリットは、資金繰りの安定化です。万が一の貸し倒れに備えることで、事業者は予測可能な範囲内で事業計画を立てられます。また、与信管理業務の効率化も大きな利点といえます。保証会社が専門的な与信審査を代行するため、自社の管理負担を大幅に削減できるでしょう。
さらに、新規取引先の開拓にも効果的です。信用情報が不十分な事業者との取引でも、保証サービスを活用することで安心して掛け取引を開始できます。保証料は月額制や保証金額に応じた料 利率制があり、取引規模に応じて選択するとよいでしょう。
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与信審査は事業経営において重要な業務ですが、審査業務の負担や判断の難しさから、十分な対策ができていない事業者も少なくありません。
特に中小企業は、与信審査の専門部署を設けることが難しく、取引先の経営状況を詳細に把握することは容易ではありません。そのため、売掛金の回収遅延や貸し倒れのリスクを抱えながら事業を継続しているというところも多いのではないでしょうか。
このような課題を解決する一つの選択肢として、債権保証サービス「Mamotte」の活用があります。リコーリースが提供する「Mamotte」は、取引先の倒産や支払い遅延時の未回収リスクを抑え、与信管理業務の負担を大幅に軽減するサービスです。
1976年からリース業で培ってきた国内最大級の販売金融の審査ノウハウは、多くの事業者さまから信頼されています。「Mamotte」で選べるプランは、取引先ごとに完全カスタマイズした保証サービスの「オーダーメイドプラン」と、月額定額料金のサブスクリプション型サービス「パッケージプラン」の2種類です。債権保証サービスをご検討の際は、ぜひリコーリースにご相談ください。
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まとめ

与信審査は企業間取引における重要なリスク管理手法であり、定量・定性両面からの適切な評価が不可欠です。情報収集から契約交渉までの基本的な流れを押さえ、信用調査機関を活用しつつ効率的な審査プロセスを実現することが、リスク軽減の第一歩です。
さらなる安心感を得たい場合は、債権保証サービス与信保証サービスの活用による業務安定化も検討すべきポイントでしょう。
取引先の倒産や支払い遅延時の未回収リスクや、与信審査の負担を軽減したい場合は、リコーリースの債権保証サービス「Mamotte」にお任せください。売掛金の未回収リスクを減らすだけでなく、新規取引の拡大にも力を発揮するでしょう。
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