債権回収と時効対策:経営者必見の初期対応から法的手段まで完全解説

さまざまなシーンのビジネスパーソン

取引先からの入金遅延や未払いが発生した際、適切な対応を怠ると債権は「時効」により回収できなくなるリスクがあります。特に中小企業の経営者にとって、債権回収は資金繰りを左右する重要課題です。

本記事では、債権回収の初期対応から時効対策、さらに法的手段の活用までを徹底解説します。債権保全の基本手段や債権保証などの活用も併せて紹介し、経営者が安心して事業を継続できるための実践的ポイントをまとめています。債権回収についてお悩みの方は、ぜひご一読ください。

<目次>
・債権回収とは?経営者なら知っておきたい基礎知識
・債権回収の具体的な手順と4つの段階別アプローチ
・債権回収を専門家に依頼した際の費用
・債権回収を成功させるために欠かせない視点
・売掛金未回収リスクに備えるならリコーリースの「Mamotte」がおすすめ
・まとめ

債権回収とは?経営者なら知っておきたい基礎知識

デスクにパソコンや資料を置いて会議する3人のビジネスパーソン

事業を営んでいる以上、売掛金の未回収や支払い遅延といった債権回収の問題は避けて通れません。そして、このような場合に適切な対応ができなければ、回収率は大幅に低下してしまいます。

効果的な債権回収を実現するためには、どのような場面で問題が発生するのかということとともに債権回収の時効について、さらには債権回収時にはどのような準備が必要なのかを理解することが重要です。まずは、債権回収の基礎知識について具体的に確認していきましょう。

債権回収が必要となる状況

事業経営において債権回収が必要となる状況は、どうしても発生してしまうものです。最も多いケースは、商品を納品したにもかかわらず代金の支払いが滞る売掛金の未回収です。また、サービス提供後の対価が期日通りに支払われない場合や、工事代金の回収が困難になるケースも多く見受けられます。

特に注意すべきは、取引先から「資金繰りが厳しいので少し待ってほしい」という支払い延期の申し出があった場合です。このような状況は、取引先の経営状況悪化の兆候である可能性が高く、放置すると完全に回収不能になるリスクがあります。

債権回収は時間との勝負であり、対応が遅れるほど回収率は大幅に低下します。連絡が取れなくなったり、不合理なクレームで支払いを拒否されたりする前に、迅速な初期対応を行うことが鍵となります。

債権回収の時効期間

債権の消滅時効期間は、2020年4月の民法改正により大幅に変更されました。現在では、債権者が権利を行使できることを知ったときから5年、または権利を行使できるときから10年のいずれか早い方で時効が完成します。

改正前は職業別に異なる短期消滅時効が存在していました。例えば、飲食店の債権は1年、運送費は1年、医師の診療報酬は3年といった具合です。しかし、これらの複雑な規定は廃止され、統一されました。

時効の完成を防ぐには、内容証明郵便による催告が有効です。催告により6か月間の時効完成猶予効果を得られ、その間に訴訟提起や支払督促を行えば時効が更新されます。ただし、時効は債務者が援用しなければ自動的に成立しないため、期間経過後でも諦める必要はありません。

時効期間内容
一般債権知ったときから5年、または行使可能時から10年
賃金債権当面の間3年(2025年3月末日が5年への移行の検討時期)
不法行為知ったときから3年、または不法行為時から20年
催告の効果6か月間の時効完成猶予

債権回収前に確認すべき5つの重要書類と証拠

効果的な債権回収を実現するために、事前に準備しておくべき重要書類があります。まず「契約書」です。売買契約書やサービス提供契約書により、取引の存在と条件を明確に証明できます。

次に請求書や納品書といった「取引記録」が必要です。これらは債権の発生根拠となる基本的な証拠書類といえるでしょう。

第3に「支払い催促の記録」です。電話やメールでの督促履歴、内容証明郵便の控えなどは、債務者が債務を認識していたことの証明になります。

第4に「債務承認書」や「念書」があれば、債務者が支払い義務を認めた有力な証拠となります。

最後に「担保関係書類」です。保証人との契約書や抵当権設定契約書がある場合は、回収の選択肢を広げる重要な資料になります。これらの書類を整理し、コピーを取って保管しておくことで、後の法的手続きをスムーズに進められます。

債権回収の具体的な手順と4つの段階別アプローチ

パソコンを見ながら考えるビジネスパーソン

債権回収を効果的に進めるには、段階に応じた適切なアプローチが不可欠です。初期の穏やかな督促から法的手段まで、どの段階でどのような手法を選択するかを確認しておくことで、債権回収もスムーズです。

自社での対応から裁判所を活用した手続きまで、それぞれの段階には異なるメリットと注意点があります。ここからは、債権回収の4つの段階について、具体的な手順と効果的な活用方法を詳しく解説していきます。

初期段階:電話・メール・訪問による「自社対応」

債権回収の最初のステップは、自社による直接的なアプローチです。まずは電話で債務者に連絡を取り、支払い遅延の理由を確認しましょう。単純な支払い忘れの場合も多く、このタイミングで解決できれば双方にとって最も負担が少ない方法です。

電話がつながらない場合は、メールや書面での督促を行います。督促状では支払い期日を明確に設定し、分割払いなどの条件見直しも検討しましょう。

訪問による対面での話し合いも効果的です。相手の状況を直接確認でき、具体的な支払い計画を立てやすくなります。交渉の際は必ず記録を残し、メモやメールで合意内容を文書化しておくことで、後の紛争時に有利な証拠となります。

なお、自社対応の段階では、相手との関係維持を重視し、穏やかなトーンでの督促を心がけることが大切です。

中間段階:「内容証明郵便」の正しい送り方と文例

自社対応でも効果が見られない場合、債権回収の次の段階として内容証明郵便の活用を検討しましょう。内容証明郵便は、郵便局が書面の内容と送付日時を公的に証明する制度で、債権回収において強力な法的効果を発揮します。

内容証明郵便の最大のメリットは、債務者への心理的圧力です。公的な証明書が付いた督促状は、通常の督促とは異なる重要性を相手に認識させ、支払いへの意識を高める効果があります。また、時効の完成を6か月延長できるため、法的手続きを検討する際の時間的余裕も生まれます。

作成時は、縦書きなら1行20字以内・1枚26行以内の厳格な書式ルールを守る必要があります。内容は簡潔で明確にし、「○年○月○日までに金○円を支払ってください」といった具体的な請求内容を記載します。

発送には、内容文書1通と謄本2通の計3通が必要で、配達証明サービスも併せて利用することで、相手が確実に受け取ったことも証明できます。内容証明郵便は債権回収の重要な転換点となる手段といえるでしょう。

後期段階:当事者間で話し合いを行う「民事調停」手続き

内容証明郵便でも解決に至らない場合、債権回収の後期段階として民事調停手続きを検討しましょう。民事調停は、裁判所を舞台とした話し合いによる紛争解決手段で、当事者双方の合意形成を重視する制度です。

裁判官1名と調停委員2名以上で構成される調停委員会が間に入り、債権回収に関する双方の主張を丁寧に聞き取ります。調停委員は弁護士や税理士などの専門家のほか、幅広い社会経験を持つ一般市民から選ばれており、中立的な立場で解決策を提案してくれます。

民事調停の大きな特徴は、感情的対立を避けるため当事者が直接顔を合わせず、それぞれが調停委員会に主張を述べる方式を採用していることです。通常3か月程度で終了し、約1か月に1回のペースで3回程度実施することで、約7割の案件が解決に至ります。

合意が成立すれば「調停調書」が作成され、これは判決と同等の法的効力を持ちます。しかし、話し合いがまとまらなければ調停不成立となります。

最終段階:「支払督促」「訴訟」「強制執行」の回収プロセス

民事調停でも合意に至らない場合、債権回収の最終段階に移行します。まず支払督促は、簡易裁判所を通じて債務者に支払いを求める手続きで、書面審査のみで進むため迅速性が特徴です。債務者が異議を申し立てなければ、そのまま強制執行の準備に入れます。

異議が出された場合や争いが予想される際は訴訟を選択します。60万円以下の債権なら少額訴訟が可能で1回の審理での迅速な判決が期待できますが、相手の同意が前提となります。通常訴訟では時間がかかる分、複雑な事案にも対応可能です。

最終的に強制執行では判決などの債務名義に基づき、債務者の財産を差し押さえて債権を回収します。預金や不動産、給与などが対象となりますが、事前の財産調査が成功の鍵を握るでしょう。

債権回収を専門家に依頼した際の費用

パソコンと資料を置いたデスクで話す男性弁護士

債権回収を自社で対応することが困難な場合、専門家への依頼を検討する経営者も多いでしょう。その際に、弁護士と債権回収会社のどちらを選ぶべきか、費用はどの程度かかるのか、判断に迷うケースも少なくありません。

専門家に依頼することにより効率的な債権回収が実現できる一方、費用対効果を慎重に見極めることも重要です。ここでは、弁護士と債権回収会社それぞれの特徴や費用相場について詳しく解説します。

弁護士に依頼するメリットと適した案件の特徴

債権回収において弁護士へ依頼する最大のメリットは、専門的な法的知識に基づく適切な交渉が可能になることです。債権回収には法的根拠に基づく主張が不可欠であり、個人で対応すると交渉相手や裁判所に主張が理解されにくいためです。

弁護士は受任通知を送付することで債権者の窓口となり、債務者との直接交渉によるストレスから解放してくれます。特に相手が感情的になってしまっている案件では、第3者である弁護士の介入により冷静な話し合いが期待できます。

弁護士への依頼が効果的なのは、高額案件や複雑な法的争点がある案件、相手方が支払いを拒否している案件です。また、面倒な書類作成や裁判所への出頭も代行してもらえるため、本業に専念できる点も大きなメリットといえるでしょう。

債権回収会社の選定基準と手数料相場

債権回収会社(サービサー)とは、金融機関や事業者が保有する貸付金・売掛金などの「不良債権」や「回収困難な債権」を、法律に基づいて回収・管理することを専門とする会社です。

日本では、1999年施行の「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」により、法務大臣の許可を受けた会社だけが「サービサー」として債権回収業務を行うことが認められています。

そのため、債権回収会社の選定では、まず法務大臣から正式な営業許可を受けているかを確認しましょう。許可のない業者は違法運営の可能性が高く、トラブルの原因となります。

また、実績の豊富さも重要な要素です。長期間営業している会社ほど、適切な債権回収ノウハウが蓄積されており信頼性が高いといえます。また、要望に応じた最適な回収手段を提案してくれるか、料金体系を明確に説明してくれるかも確認しましょう。

手数料については、一般的に債権額に対して2%~3%程度と比較的低い水準に設定されています。ただし債権買取の場合は、未回収リスクを考慮して額面金額より大幅に低い価格での買取となる点に注意が必要です。

債権回収を成功させるために欠かせない視点

デスクで資料を見ながら会議する2人のビジネスパーソン

効果的な債権回収を実現するためには、単に回収手法を知るだけでは不十分です。事前の債権保全対策から近年注目されている債権保証まで、幅広い視点で取り組むことがスムーズな事業経営を成功させるポイントです。

特に中小企業にとって、一度の債権未回収が経営に深刻な影響を与えるケースもあるため、予防的な観点からの対策が欠かせません。ここでは、債権回収を成功に導く3つの重要な視点について詳しく解説していきます。

債権回収と債権保全の関係

債権回収と債権保全は密接な関係があります。債権保全とは、将来的に債権が回収不能となるリスクを事前に軽減する取り組みです。これに対して債権回収は、既に発生した債権を実際に回収する行為を指します。

債権保全は債権回収の前提となる重要な要素といえるでしょう。なぜなら、事前の保全策が不十分な場合、債権回収の段階で大きな困難に直面する可能性が高いからです。

契約段階で債権保全策を講じておくことで、債務者の経営状況が悪化した場合でも回収の可能性を高められます。中小企業では、一度の大きな債権未回収が経営を圧迫する恐れがあるため、契約書作成時から慎重な債権保全対策が求められます。

つまり、効果的な債権回収を実現するには、事前の債権保全が不可欠なのです。

回収不能を防ぐための債権保全の基本手段

債権保全の基本手段は主に3つの方法があります。まず担保権の設定です。抵当権や質権により債務者の資産を担保に取ることで、倒産時でもほか債権者より優先的に債権回収できます。特に不動産を担保とする抵当権は効果的な保全策です。

次に仮差押えや仮処分があります。債務者が財産を隠匿、または処分する前に、裁判所への申立てにより資産の処分を一時的に禁止する手続きです。これにより、将来の強制執行に備えて財産を確保することが可能です。訴訟中の財産保全として有効です。

また、保証人の設定も重要な手段です。特に連帯保証人を立てておけば、主債務者が支払い不能になった場合でも保証人から回収可能になります。ただし個人保証を求める際には、過度な負担を強いないような慎重な対応が求められます。

債権回収の不安を解消する「債権保証」という選択肢

債権保証は、取引先の倒産などによって生じる未回収リスクを保証会社が引き受けるサービスです。債権回収の不安を根元的に解消できる効果的な選択肢として、多くの経営者から注目されています。

債権保証の仕組みは比較的シンプルです。あらかじめ保証会社と契約を締結し、保証料を支払います。万が一、取引先が倒産した場合には、保証会社と設定した保証限度額の範囲内で損失を補償してくれます。

導入メリットは3つあります。まず営業機会の拡大です。新規取引先への不安が軽減されるため、積極的な営業活動が可能になります。次に資金繰りの安定化です。売掛金の回収不能リスクがなくなることで、安定した資金計画を立てられます。

最後に与信管理業務の効率化です。保証会社の審査を活用することで、社内の与信管理負担を大幅に軽減できるでしょう。

売掛金未回収リスクに備えるならリコーリースの「Mamotte」がおすすめ

パソコンを置いたデスクに座り会議する3人のビジネスパーソン

債権回収の不安を根元的に解消する方法として、近年多くの経営者が注目しているのが債権保証サービスです。しかし、数ある保証会社の中からどのサービスを選べばよいのか判断に迷う方も多いのではないでしょうか。

債権保証サービス選択の際は、保証会社の信頼性や審査ノウハウ、料金体系などを総合的に検討することが重要です。

ここでは、売掛金未回収リスクを効果的に軽減できるリコーリースが提供する債権保証サービス「Mamotte」の特徴と、事業規模に応じた最適なプラン選択について詳しく紹介します。

リコーリース債権保証サービス Mamotte

債権保証サービス「Mamotte」の特徴

債権回収の不安を抱える経営者におすすめの債権保証サービスが、リコーリースの「Mamotte」です。多くの企業から選ばれる理由は3つあります。

第1に、高い対外信用力です。東証プライム市場上場企業としての安定した財務基盤と外部格付け取得により、安心して利用することが可能です。

第2に、独自の保証限度額設定です。1976年からのリース業で培った審査ノウハウと、400,000社の与信審査データを活用し、画一的ではない最適な保証限度額を提示します。

第3に、適正な保証料体系です。オーダーメイドプランでは取引先の規模に応じた料金設定、パッケージプランでは月額定額制により、コストを抑えた債権回収対策が可能になります。

売掛金未回収リスクを軽減する「Mamotte」のプランは2種類!

リコーリースでは、事業者さまの多様なニーズに応えるため、オーダーメイドプランとパッケージプランの2つのサービスを提供しています。

オーダーメイドプランは、数百万円から数千万円以上の高額債権の保証に適したサービスです。お取引先1社ごとに綿密な保証審査を実施し、専任担当者がきめ細やかにサポートします。フルカスタマイズの保証設計により、事業の商取引の規模に応じた最適な保証プランを提案できます。

一方、パッケージプランは月額定額制のサブスクリプション型サービスです。保証対象先の変更も可能で、初めて債権保証サービスを利用する事業者さまにもおすすめです。

どちらのプランも売掛金未回収リスクを大幅に軽減し、本業への集中を可能とする安心のプランです。

まとめ

オフィスに笑顔で立つ3人のビジネスパーソン

債権回収は事業経営において重要な課題であり、初期段階での自社対応から法的手段まで、段階的なアプローチが必要です。効果的な回収のためには、時効期間の把握や、契約書・請求書などの重要書類を適切に準備・保管してしておくことが重要です。

さらに、状況に応じて弁護士や債権回収会社への依頼も有効な選択肢となります。また、適切な債権保全や債権保証を活用することで、売掛金未回収リスクを事前に軽減することが可能となるでしょう。

リコーリースの債権保証サービス「Mamotte」は、東証プライム上場企業としての信頼性と、400,000社以上の与信審査実績を生かした独自の審査システムにより、確実な債権保護を実現します。

新規取引の拡大や与信管理業務の効率化をお考えの事業者さまは、まずは無料相談からご検討ください。 専門スタッフが貴社の状況に合わせた最適なプランをご提案いたします。

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