債権保全の基本から実践まで:未回収リスクから会社を守る経営者のための完全ガイド
債権保全とは、売掛金などの債権を確実に回収するために講じる施策です。この記事では、事業を経営していく上でのリスクを回避する対策のひとつである「債権保全」について詳しく解説します。売上金の未回収による連鎖倒産を防ぐための基礎知識をまとめました。
「売掛金が回収できない……」多くの中小企業経営者が直面するこの悩みは、時に経営の存続すら脅かす深刻な問題です。取引先の突然の倒産などによって、せっかく築いたビジネスが危機に陥ることも少なくありません。
債権保全とは、このような未回収リスクから会社を守るための重要な経営戦略です。適切な債権保全対策を講じていれば防げたはずの損失に苦しんでいる事業者は、数多く存在します。
そこで今回は、中小企業経営者の皆様に向けて、債権保全の基礎知識とその導入メリットについて、実践的なアプローチを交えて紹介します。
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債権保全の基本概念と経営リスク対策としての重要性

掛売取引が中心の事業において、売掛金の未回収リスクは常に付きまとう経営課題です。このリスクから事業を守るために不可欠なのが「債権保全」という考え方です。この章では、まず債権保全の基本に立ち返り、その重要性を理解していきましょう。
そもそも債権保全とは何か、なぜ経営に不可欠なのか、そして対策を怠った場合にどのような未来が待っているのか。事業の土台を固めるための第一歩として、基本から分かりやすく解説していきます。
債権保全の定義と目的
債権保全とは、売掛金などの債権を確実に回収するために講じる保全措置のことです。
多くの中小企業は「掛売取引」で商品やサービスを先に提供し、後から代金を受け取る仕組みで事業を行っています。しかし、取引先の経営悪化や倒産により売上代金が未回収となれば、自社の資金繰りが悪化し、最悪の場合は連鎖倒産に至る危険性があります。
このリスクを回避するために、債権保全では担保権の設定や保証人の確保、債権保証サービスの活用など、さまざまな手法を組み合わせて対策を講じます。重要なのは、問題が発生してから対処するのではなく、取引開始前や取引継続中に予防的な措置を講じることです。
債権保全は単なるリスク対策ではありません。適切な保全措置により安心して新規取引を拡大でき、結果として売上向上と事業成長を支える経営戦略の重要な基盤となるのです。
債権保全対策の重要性
中小企業にとって債権保全対策の導入は必要不可欠です。例えば、取引先の支払い遅延が発生したり、決算書上で債務超過や赤字が継続していたりする状況では、債権が回収できず大きな損失を被る場合があります。
1社の倒産により売掛債権を失った事業者の多くが連鎖倒産のリスクに直面するといわれています。
特に建設業では、元請け会社の倒産により下請け企業が連鎖的に経営危機に陥るケースが頻発しています。製造業でも主要取引先への依存度が高い事業者ほど、その取引先の業績悪化が直接的な経営リスクとなるでしょう。
債権保全対策は「転ばぬ先の杖」として機能するものです。リスクの兆候を早期に察知し、適切な保全措置を講じることで、事業の持続的成長を支えるべく大きな効果を発揮するでしょう。
債権保全を怠った場合に発生する経営リスク
債権保全を怠ることで発生する経営リスクは、事業存続に直結する深刻な問題です。特に資金繰りの悪化が最大のリスクとなります。実際の事例を見ると、売掛金の未回収により資金不足に陥り、新たな仕入や投資ができなくなるケースが頻発しています。
長期取引先が「月末には払う」といいながら数か月の支払い遅延が常態化し、契約書に厳格な支払い期日や督促手順がないため改善されず、債権が積み上がってしまう事例も多く見られます。
さらに深刻なのは、長年の取引先が突然倒産し、数千万円の売掛金が回収不能になるケースです。長年付き合いがあることで与信管理や担保取得を怠る場合も多く、回収の見込みが全くない状況に陥ってしまうことも少なくありません。
また、口頭ベースの合意で価格や納品内容を決めていたため、支払いを拒否されても契約条件を証明できず、法的対応でも苦戦する事例が後を絶ちません。これらのリスクは連鎖倒産につながる可能性があり、債権保全の重要性を物語っています。
債権保全と与信管理の違いと相互関係
債権保全と与信管理は、事業のリスク対策において異なる役割を担いながらも、密接に連携する重要な経営活動です。
与信管理は取引開始前に取引先の信用度を調査・評価し、与信限度額や決済条件を設定する予防的な管理です。一方、債権保全は取引によって発生した債権を確実に回収するための全般的な管理活動となります。
両者の関係性は、まさに車の両輪といえるでしょう。与信管理で信用力が高いと判断した取引先でも、予期しない経営悪化により支払い遅延が発生する可能性があります。こうした場合に債権保全の出番となり、担保権の行使や法的手段を検討します。
逆に債権回収の経験を踏まえて「次回から与信限度額を引き下げよう」と与信管理の基準を見直すケースもあり、継続的な改善サイクルを形成しています。
| 項目 | 与信管理 | 債権保全 |
| 実施タイミング | 取引開始前 | 取引開始後 |
| 目的 | 信用リスクの事前評価 | 債権の確実な回収 |
| 主な活動 | 信用調査・与信枠設定 | 担保設定・回収交渉 |
| 性質 | 予防的管理 | 事後的管理 |
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効果的な債権保全の具体的手法と選び方

事業経営において、債権保全は非常に重要です。それらを理解する上で気になるのが、「具体的に何をすればよいのか?」という点でしょう。ひと口に債権保全といっても、法律に基づく担保の設定から、人の信用力を活用する方法、契約内容の工夫まで、そのアプローチは多岐にわたります。
自社の業種や取引に合わせて最適な手段を選択することが、リスクを最小限に抑える鍵となります。ここからは、効果的な債権保全の具体的な手法と、その賢い選び方について詳しく見ていきましょう。
法的担保による債権保全(不動産担保・動産担保・債権譲渡担保)
法的担保による債権保全は、債務者が返済できなくなった際に、特定の財産から優先的に回収できる仕組みです。
不動産担保は最も一般的な担保で、土地や建物を対象とします。抵当権を設定することで、債務不履行時に競売によって換価し、その代金から優先弁済を受けられます。価値が安定している反面、登記手続きに時間と費用がかかる点は留意点です。
動産担保では、機械設備や商品在庫などを対象に質権や譲渡担保を設定します。不動産より手続きが簡便ですが、価値の変動や管理の難しさもあるでしょう。
債権譲渡担保は、売掛債権などの金銭債権を担保とする方法です。第三債務者の資力に依存するため、担保価値の評価が重要になります。それぞれの特性を理解し、取引の性質に応じて適切な担保を選択することが債権保全の成功につながります。
人的担保による債権保全(連帯保証人・保証会社の活用法)
物的担保とは別に、人の信用力に依拠する人的担保も、債権保全の重要な選択肢です。代表的なのが「連帯保証人」の設定で、債務者への心理的な圧力となり、支払いを促す効果が期待できます。
連帯保証がなぜこれほど強力かというと、債務者本人とほぼ同等の重い責任を負う点にあるのが理由です。通常の保証人と違い、「まず本人に請求してほしい(催告の抗弁権)」や「本人の財産から先に回収してほしい(検索の抗弁権)」といった主張ができません。そのため、債権者は取引先の状況に関わらず、直接連帯保証人へ支払いを請求することができるのです。
しかし、取引先の代表者を連帯保証人に立てた場合、会社が倒産するような状況では代表者個人の資産がないケースも多く、回収が難しいリスクは残ります。このように、保証人の資力に回収が左右される点は、人的担保の課題といえるでしょう。
契約上の工夫による債権保全(所有権留保・債権保証)
契約上の工夫による債権保全は、契約書の条項設定によって債権回収の確実性を高める手法です。
所有権留保は、商品代金が完済されるまで売主が所有権を保持する仕組みです。割賦販売契約書に「商品の所有権は代金完済まで売主に留保される」旨を明記することで設定されます。買主が支払い遅延した場合、売主は商品の返還を求められるため強力な担保効果を発揮します。
さらに契約書には期限の利益喪失条項や遅延損害金の設定を盛り込むことで、支払いの動機付けを強化できます。
また、債権保証サービスの活用も重要な選択肢となります。第三者機関が債権の支払いを保証することで、取引先の倒産などによる未回収リスクを回避できます。保証料は必要ですが、安心して新規取引の拡大が可能になるでしょう。これらの契約上の工夫により、法的手続きに頼らない効果的な債権保全が実現します。
業種別の最適な債権保全手法の選び方
業種別・取引形態別の債権保全手法選択では、各業界の商慣行と取引特性を理解することが重要です。
製造業は、長年の取引が多く「今さら保証を要求できない」というケースも少なくありません。また、生産計画に基づき納入が継続するため、売掛金も累積しやすい傾向にあります。そのため、取引先に知られずに利用できる債権保証サービスが有効です。
加えて、数字だけでなく業界動向や業績トレンドを確認し、保証限度額や保全の必要性を見極めることも欠かせません。
卸売業も製造業と同じく反復取引が多い一方で、販売先が広範に及ぶため「小額・多数の取引先」を抱えることが特徴です。
さらに、取引先の信用力にばらつきがあることも多く、効率的な保全策が求められます。そのため、多数の小口債権を一括でカバーできる債権保証サービスが適しています。保証付き取引と保証なし取引を区別し、特に、一定金額以上の取引先やリスクの高い取引先に保証をかける運用が有効です。
サービス業では無形のサービス提供が中心となるため、物的担保を確保しにくいという特徴があります。人的担保や与信管理、債権保証サービス、契約条件の明確化といった手法を組み合わせて活用することが重要です。
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取引先の協力が得られない場合の債権保全対策

債権保全に万全を期そうとしても、必ずしも取引先が協力してくれるとは限りません。担保提供や保証人設定を断られ、頭を抱えている経営者の方もいらっしゃるでしょう。しかし、諦めるのはまだ早いかもしれません。このような厳しい状況でこそ、債権を確実に守るための戦略的な対応が求められます。
ここからは、相手の協力が得られない場面を想定し、交渉から最終手段、さらには予防策に至るまで、状況に応じた具体的な対応策を詳しく解説していきます。
取引先が担保提供や保証人設定に応じない場合の交渉術
取引先が担保提供や保証人設定を拒む場合、債権保全における心理戦の側面を理解することが重要です。
債権回収は相手の支払い動機を高めることが鍵となります。資金繰りに困った取引先は債権者に優先順位をつけるため、「必ず支払わなければならない債権者」と認識させることが必要です。
まず、取引の事実確認を徹底しましょう。商品受領を否定しているのか、単に資金不足なのかを見極めます。前者の場合、後から支払い拒絶の理由として利用される可能性があるためです。
交渉では相対的に有利な立場を活用し、相殺や代理受領、代物弁済などの代替手段を提案します。ただし、過度な圧力は逆効果となるため、あくまで債権回収という目的達成を最優先に考えることが大切です。
仮差押えと強制執行の実施タイミングと手続き
取引先との交渉が決裂した場合、債権保全における最後の手段として仮差押えと強制執行があります。これらは裁判所を通じた法的手続きであり、実施のタイミングと適切な手続きが成功の鍵となります。
仮差押えは、本格的な裁判を行う前に取引先の財産処分を一時的に禁止する手続きです。債務者が財産を隠匿したり第三者に売却したりする前に、裁判所に担保金を供託して財産を保全します。不動産なら登記、預金なら口座凍結により効力が発生するでしょう。
強制執行は確定判決や支払督促などの債務名義を取得後、裁判所の執行機関を通じて債務者の財産を差し押さえる手続きです。預金口座や給与、不動産の競売により債権回収を図ります。
実施タイミングは、債務者の資産状況と支払い能力を総合的に判断して決定します。財産隠匿の兆候があれば迅速な仮差押えが必要ですし、任意交渉の余地がある場合は段階的なアプローチが効果的です。
住民票請求など信用情報収集による予防的債権保全策
債権保全において、住民票請求などの信用情報収集は予防的な対策として重要な手段です。
法的に認められた正当事由があれば、第三者でも取引先の住民票の写しを取得できます。債権回収・保全のために契約者の所在確認が必要な場合、宛先不明で郵便物が返送された事実があれば請求が可能となります。ただし「債権保全のため」といった抽象的な理由では不十分で、具体的な使用目的を明記する必要があります。
なお、請求には契約書の写し、法人の登記事項証明書、返送された封筒など疎明資料の添付が求められます。
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売掛金の未回収リスクを防ぐ適切な債権保証サービスの利用

債権保全の重要性は理解していても、担保交渉などがうまくいかず、困ってしまうこともあるでしょう。そのようなリスクから事業を守る効果的な方法が、「債権保証サービス」です。
債権保証サービスは、取引先の協力なしに取引先の未払いや倒産などによる未回収リスクから会社を守れます。ここからは、債権保証サービスの概要やメリットについて詳しく見ていきましょう。
債権保証サービスとは
債権保証サービスとは、取引先の倒産などといった万が一の事態に備える、いわば「売掛金の保険」のような仕組みです。
日本の商取引で一般的な掛取引では、代金未回収のリスクが常に伴い、1社の貸し倒れが自社の経営を揺るがす事態につながりかねません。このサービスを利用すれば、保証会社が回収不能となった売掛金を代わりに支払ってくれるため、キャッシュフローの悪化を防ぎ、経営の安定化を図れます。
| 項目 | 内容 |
| 概要 | 取引先の倒産時などに、保証会社が売掛金を代わりに支払うサービス |
| 目的 | 売掛金の未回収リスク(貸し倒れ)を防ぎ、事業者の資金繰りを安定させること |
債権保証のメリット
債権保証サービスの活用により、事業者は54つの重要なメリットを享受できます。
債権保証サービスの最大のメリットは、取引先に保全をかけている事実を知られずに利用できる点です。製造業や卸売業においては特に、長年の取引先に「保証を付けたい」と伝えてしまうと、信頼関係に影響する恐れがあります。しかし、債権保証サービスなら従来通りの条件で取引を継続しつつ、取引先の協力なしに売掛金の未回収リスクから会社を守れます。
次に、営業機会の拡大が図れる点もポイントです。取引先の信用不安による機会損失を防ぎ、積極的な営業展開が可能になります。「回収リスクが心配で新規開拓を諦める」といった状況を回避し、売上増加に直結するでしょう。
対外信用力の向上も大きなメリットのひとつです。債権保証サービスを活用し未回収リスクを実質的に排除できれば、事業者の信用力は相対的に向上します。貸借対照表上の売掛債権に未回収リスクがないこと示せるため、金融機関や取引先に対して健全制をアピールでき、より強い信頼の獲得につながります。
そして、資金繰りの安定化も重要な効果です。予期しない貸し倒れによる損失を回避し、安定的な利益計上が実現します。
さらに債権保証サービスのコストは全額損金として処理可能で、税制上のメリットも得られます。
これら5つの効果により、事業の経営基盤強化が図れるのです。
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リコーリースの「Mamotte」で安心の事業経営を
債権保全の実践において、実際のサービス活用は事業者にとって現実的な解決策となります。リコーリースの「Mamotte」は、そうした債権保全ニーズに応える信頼性の高いソリューションです。
「Mamotte」が支持される理由は3つの強みにあります。第1に東証プライム市場上場企業としての高い対外信用力です。外部機関による格付け取得により、サービス自体の信頼性が担保されています。
第2に、400,000社との取引で蓄積された与信審査ノウハウを生かした独自の保証限度額設定です。画一的な保証ではなく、取引先ごとの状況を考慮した適切な保証を提供する強みがあります。
第3に挙げられるのが、柔軟なプラン設計です。オーダーメイドプランとパッケージプランの2種類を用意しており、事業規模や取引形態に応じた最適なサービスを選択できます。
オーダーメイドプランでは一社あたりの保証限度が数百万円〜数千万円規模の高額な売掛債権に対応しており手厚い保証を求める事業者さまに向いており、パッケージプランでは月額1万9,800円の定額制で手軽に保証サービスを利用したい事業者さまに向いています。
リコーリース債権保証サービス Mamotte
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まとめ

債権保全は事業経営を守る上で、欠かせない施策です。新規事業者との取引の際は、不動産や動産担保、保証人の設定といった多様な方法がありますが、取引先の協力が得られない場合には、取引先に知られずに未回収リスクをカバーできる債権保証サービスの活用を検討するとよいでしょう。
リコーリースの「Mamotte」は、主にBtoBの法人間取引において発生する売掛金未回収リスクを保証するサービスです。400,000社との取引で蓄積された与信審査ノウハウを生かし、取引先ごとの状況を考慮した適切な保証をご提供します。事業の安定化を目指したい方からのお問い合わせをお待ちしております。
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